シンセサイザー周辺機器 (1)

SEQUENCER

シンセサイザーの新しい大衆利用法。


デジタル・シーケンサー

 シンセサイザーの周辺装置といえばまず一番の人気者はシーケンサーだろう。シーケンサーによってシンセサイザーを自動演奏させることは、とっても大事なことなので本誌の方でもたびたび登場しているのだ。(83年3月号の、ゲルニカの表紙のやつにはシーケンサー大特集がのっているからそちらも参照してネ)まあこのシーケンサーをうまく使いこなすためには自分の性格に合ったモデルを選ぶことから始めるべきだね。やはりシーケンサーと人間の相性はあると思うよ。一番極端な人はすごく気の短い人だろう。こういう人はシーケンサーは使わない方が健康上もよい。それ程でなくてもめんどうなプロセスはちょっといやだなという人はデジタルシーケンサーが良いだろう。ローランドのCSQシリーズのように弾いたままがメモリーされ、それをそのままプレイするというのはテープレコーダー感覚だ。テープレコーダーと大きく異なるのはスピードのコントロールだろう。スピードコントロールのついたテープレコーダーというのはなかなかないけれど、オープンリ ールのテープレコーダーには19cmとか38cmと印されたモータースピードの切替スイッチがついている。19cmで録音し38cmで再生してやれば演奏のスピードは倍になりチャカチャカした演奏になる。そしてスピードだけでなく音程も1オクターブ上になってしまうのだ。このため声を録音するとドナルドダックみたいな声となってしまうわけだが。シンセサイザーの場合はシーケンサーのスピードコントロールによってスピードが変わるだけでピッチは変化なしだ。だからベースを演奏してもピッコロベースにはならない。またシーケンサーにプログラムする時メトロノーム音が聞こえるけれど、TR-606などのリズムボックスをシンクロさせておきシンク演奏させてやるともっとノッタ演奏ができるはずだ。演奏には雰囲気づくりが重要だからね。手弾きの雰囲気のままシーケンスができるのはこのシーケンサーの大きな特徴だろう。鍵盤の電圧を加えて、自動演奏の転調もできるからベースパターンやアルペジオなどにすぐ使えるし、、ステージでも即興的に使える。


マイクロ・コンポーザー

 さて次は気の短い人。ちょっとのしんぼうならできる人だ。まあ、おしんほどガマンできる人ならシーケンサーは使わないで鍵盤だけ使って演奏した方が根性が鍛えられるかもね。そして自分が知的生活をしていると自分だけで思っている人だったらなおさらよい。こういう人にはマイクロコンポーザーがよいね。マイクロコンポーザーはプログラムがCSQなどのデジタルシーケンサーに比べてメンドウだ。そのかわり一曲分の演奏データを打ち込むことができる。それも1チャンネルでなく2〜8チャンネルだから、プログラムが仕上がりスタートさせた時の演奏の豪華さはなかなかスバラしい。マイクロコンポーザーのデータの打ち込みはその時の仕上がりを考えながら行うと楽しくできる。音程にしてもテンキーで入力していくからちょっと音楽とはかけ離れたイメージがあるが結局はメンドウな計算をしているわけでなく鍵盤につけられた番号を押しているので心は音楽しているのだ。しかしこのマイクロコンポーザーというのは奥が深い。MC-4でもMC-202でもそうだが単に譜面通りに音符の長さや音程を打ち込んでいって機会ノリの演奏を行わせるのはもちろんお手のものだが、それ以上のことも慣 れてくれば自由にできる。人間の指で演奏するよりもシビアなコントロールができるわけだ。音楽の音楽たるゆえんは譜面通りに音程がただ変化するのではなく、テンポも感情の起伏によってゆれたり、音色や音量もそれによって変化する。テンポはテンポつまみを持ちながら演奏を聴いてコントロールするのがてっとり早い(トミタ氏もこの方法をよく使っています)が、MC-4ではクロックが電圧制御だからCV-2の電圧を使ってテンポもプログラム可能だ。リタルダンドなどやりやすいよ。音色や音量も余っているチャンネルやCV-2の電圧と、シンセ側のVCFやVCA(システムシンセを使うこと)に接続すればpppからfffまでプログラムできる。コンピュータミキサーを使わずともコンピュミックスの効果が得られる。クラッシック系のストリングスには大変有効だ。ただいろいろ試行錯誤して自分の方法を探すから好奇心や探求心のある人には最適だが、アキっぽい人にはチト難しい。


MIDI規格のシーケンサー

 さて最後にこれからのシーケンサーはどうなるのかを予想してみよう。今後の注目株はやはりMIDIだろう。MIDI規格のシーケンサー(もちろんポリフォニック)は鍵盤で入力したものをCRTディスプレイでエディットしたり、直接キーボードで入力したりでき、いろんな性格の人に向くようになるだろう。あるいは今のTVゲームと同じようにマイコンとしても使えるとか逆にマイコンにMIDI用シーケンサーがついて演奏したオタマジャクシがTVの画面に次々現れプリントすることもできるし、理論上のマチガイを指摘してくれたりするなんていう製品も夢じゃないだろう。まあ楽しみにしていよう。


ローランド MC-8 ローランド MC-4
ローランド CSQ-100 ローランド MC-202
オーバーハイム DSX ローランド TB-303



☆「Sequencer」は、直訳すれば「連続装置」「連鎖装置」。転じて、「次々と音符を演奏する装置」。この時代より少し以前のアナログシーケンサーのイメージ。
☆”おしん”が出てくるところなんざ、時代を感じずにはいられまい。(笑)
☆このころ注目されたMIDIですが、コンピュータ関係(中身の話)の規格にしては本当にロングランだと実感します。
☆夢のシーケンサーシステム、現在はこれが当たり前となりましたが、この先10年20年はどうなっちゃうんでしょうね。


※記事をテキスト化する際、誤字は修正させていただきました